NR出版会とは?

 1969年8月,社歴5年以下,社員10名以下の小出版社が集まって「NRの会」は誕生した.1968年からはじまった全世界的な学生叛乱と60年文化が開花するなかで誕生したNRは,反骨・反体制・反権力を旗印にした独立不羈の色彩が強い出版団体であり,NRとは「ノンセクト・ラディカル」の頭文字をとったものと伝えられている.
 1970年2月,NRセット「現代思想選書」が組まれ,書店で好評を得た.70年代には,宇井純『公害原論』(亜紀書房),永山則夫『無知の涙』(合同出版),荒畑寒村『谷中村滅亡史』(新泉社),田中美津『いのちの女たちへ』(田畑書店)など,大きな反響をよぶ本が続々と会員社から刊行された.ウーマン・リブが結集した『女・エロス』(社会評論社)の定期刊行がはじまったのも70年代である.
 大手出版社に先駆けて,こうした公害問題,エコロジー,フェミニズム,人権問題など,新たな社会思想の分野における問題提起をなす出版物が刊行された.
 80年代に入り,技術と人間が加入した(1982年).月刊誌『技術と人間』は,現代科学技術,とくに核文明への鋭い批判を展開した.1983年9月,三省堂書店本店と協力して「われら地球派・1983年エコロジスト宣言」フェアを実施し,これを機に主要書店への環境問題コーナー設置を働きかけた.戸村一作『小説・三里塚』(亜紀書房),安藤登志子『北富士の女たち』(社会評論社),山口武秀『権力と戦う住民』(柘植書房)など,全国の住民運動の記録も数多く刊行された.
 金蒼生『わたしの猪飼野』(風媒社),吉岡増雄『在日外国人と社会保障』(社会評論社),山本リエ『金嬉老とオモニ』(創樹社)など,在日外国人の人権や民族文化をめぐる出版分野も活発になされた.この分野では,90年代に加入した新幹社(1998年)が最も積極的な出版活動をおこなっている.
 NRは結成以来,広告や書店への販売促進などの活動を共同でおこなってきたが,1976年にはより発展する形で「NR出版協同組合」として法人化し,印刷,倉庫,金融など出版業務の全般にわたる協業化をはかり,加盟社の経営改善に役立てた.しかし,90年代に入り,長期大不況とともに制作過程の多様化などのため,1996年に協同組合を解消し,営業活動を主軸とする出版団体「NR出版会」として再出発した.
 「NR出版会」として再スタートしてからは,インパクト出版会(1996年),七つ森書館(2003年),現代人文社(2008年)など,社会運動の現場の視点を反映した出版活動を多く手がける新規加入社がNRの新たな顔となり,混迷をきわめる時代状況に一矢を報いるべく,NRの活動を積極的にリードしている.
 50年近くにわたる歴史のなかで,加盟社は幾度か入れ替わった.2017年3月現在の正会員社は,亜紀書房,インパクト出版会,現代人文社,新泉社,柘植書房新社,七つ森書館の6社,会友社は,風媒社,えにし書房,共和国,世織書房の4社である.NR出版会は,これからも出版を通して社会に向けて〈問い〉を発し続ける.

NR出版会加盟社(2017年3月現在)

◎正会員社
 亜紀書房
 インパクト出版会
 現代人文社
 新泉社
 柘植書房新社
 七つ森書館

◎会友社
 風媒社
 えにし書房
 共和国
 世織書房

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