□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
発行/新 泉 社 http://www.shinsensha.com/
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
待望の「クルド学叢書」、刊行スタート!
第1弾は、『レイラ・ザーナ(Leyla Zana)』
1)クルド学叢書
「クルド学叢書」は、中東イスラーム研究の“空白領域”ともいえるクルド人&クルディスタン研究をカバーします(クルド学)。また、ジャーナリズムにおいても情報蓄積が量的にも質的にも決定的に乏しいクルド人&クルディスタン情報をカバーします(クルド報道)。
「クルド学叢書」は、クルド人&クルディスタンに関するあらゆる分野の研究、調査、報道、批評コンテンツをテーマとし、その成果を日本社会に問いかけます。
〔中東世界の民族人口構成において、クルド人は、アラブ人、トルコ人、ペルシア人に次ぐ第四の位置を占める。総人口は2500〜3000万人と推定されるが、国家を持たない。「国家なき最大の民族」として知られる。その居住地域は太古の昔より「クルディスタン」と呼び慣わされ、その広さは50万平方キロにもなり、フランスの国土に匹敵する。イラク、シリア、トルコ、イランなどにまたがり、中東地域のど真ん中(中東の臍)に位置し、地政学的にきわめて重要な意味をもつ。じつのところ、このクルド人たちとクルディスタンの動向は中東情勢全体を左右するきわめて重要な要因となってきたが、「国家なき民族」であるという条件だけで、その研究・調査は決定的になおざりにされてきた。クルド人たちを支配する周辺国の論理(公式イデオロギー)に依拠するか、安易な反西欧史観から、クルド人問題はせいぜいのところ付随的言及に止められてきた。報道・批評にあっても情報蓄積が行われることなく、つねにその場かぎりの表層的、非分析的なステロタイプ化された情報羅列に終始してきた。――クルド学叢書の役割、意味〕
2)「レイラ・ザーナ」
レイラ・ザーナは、1980年代末から90年代初頭にかけて、トルコ政界に彗星のごとく登場し、クルド民族の若きヒロインとなった人物です。1991年、トルコ大国民議会(国会)選挙に同国東部クルド人居住地域から立候補し、30歳という若さでの当選。クルド人初の女性議員となった。しかし、議員就任式での議員宣誓を母語(クルド語)を交えて行ったこと、民族色を身にまとったことに端を発し、反レイラ・キャンペーン/反クルド人・キャンペーンが大々的に展開され、1994年に投獄された。分離主義テロリストとして死刑を求刑されるが、欧州諸国の圧力で禁固15年の判決に。そして2004年6月、欧州人権法廷による裁判のやり直しを命ずる裁定に基づき、ようやく釈放され、再審理が始まっています。
一方、レイラは、獄中にある間、サハロフ賞をはじめとするさまざまな国際平和賞を受賞しています(ローザ賞、アーヘン・アールタナティヴ賞、ラフト人権賞、ブルーノ・クライスキー賞ほか)。ノーベル平和賞にノミネートされたこともあります。
レイラ・ザーナはテロリストなのか、それとも民主化の旗手なのか。レイラ・ザーナは何を主張しているのか。クルド人は何をトルコ政府の要求しているのか。トルコ政府はいかなる論理でレイラ・ザーナを死刑にしようとしたのか。レイラ・ザーナはいかなる人生を歩んできたのか。本書は、レイラ・ザーナ投獄事件の全容を複眼的、立体的に見つめ、検証し、クルド人問題の本質を探ります。
(中川喜与志「民主化の旗手か、テロリストか?」NR出版会ホームページ)
http://www006.upp.so-net.ne.jp/Nrs/memo0507.html
1)クルド人女性議員の獄中からの生の声を紹介しています。これまでクルド人たちの主張、要求は、クルド人たちを統治する国々の論理、もしくはパワーポリティクスの視点からのみ論じられてきました。本書では、レイラ本人の生の声、意見、主張を紹介しています(第3章「獄中からのメッセージ」、4章「獄中からの手紙」)。
2)レイラ・ザーナ投獄事件の全容を詳細に描くとともに、トルコのEU加盟問題とクルド人問題、トルコの民主化の動きを立体的に描いています(第1章「なぜレイラ・ザーナは投獄されたのか」)
3)全編にわたって、本文下に人名・事項の脚註を付し、クルド人問題および現代トルコ政治の歴史、論点、トピックスを詳細に解説しています。
4)資料的価値を考慮し、法廷文書も訳出。トルコにおける政治システム、歴代政権・大統領・軍部首脳リスト、欧州人権法廷の人権救済手続きなども加えました(第5章「起訴状と弁論」および巻末資料)。
5)クルド人問題研究(クルド学)の草分け的存在にして、その研究ゆえに本人も17年間投獄されていたトルコ人社会学者イスマイル・ベシクチからの寄稿文を掲載しています(第6章「トルコにおける政党政治とクルド人たち」)。
6)人名索引・事項索引で、本書中に登場する人名、事項を細かくピックアップ。クルド人問題およびトルコ現代政治に関する情報ハンドブック(事典)として活用できるように仕上げました。
序 民主化の旗手か、テロリストか?(中川喜与志)
第1章 なぜレイラ・ザーナは投獄されたのか?(中川喜与志)
第2章 夜を照らす暗黒――レイラ・ザーナ半生記(ファイサル・ダール)
第3章 獄中からのメッセージ(レイラ・ザーナ)
第4章 獄中からの手紙(レイラ・ザーナ)
第5章 起訴状と弁論――1994年レイラ裁判
第6章 トルコにおける政党政治とクルド人たち(イスマイル・ベシクチ)
資 料
編者・あとがきにかえて
レイラの故郷バフチェ村を訪ねて(中川喜与志)
クルド人問題を見る視座(大倉幸宏)
レイラ・ザーナが照らし出すもの(武田歩)
事項索引、人名索引
○中川喜与志(なかがわ・きよし)
1954年石川県生まれ。京都大学経済学部卒業。広告制作会社勤務を経て、フリーのジャーナリスト、クルド学研究者に。大阪産業大学で非常勤講師(平和学、民族問題)。
著書に『クルド人とクルディスタン――拒絶される民族(クルド学序説)』(南方新社、2001)。訳書に『クルディスタン=多国間植民地』(イスマイル・ベシクチ著、柘植書房、1994)など。
○大倉幸宏(おおくら・ゆきひろ)
1972年愛知県生まれ。三重大学人文学部卒業。龍谷大学大学院法学研究科修士課程修了。広告会社勤務。
○武田歩(たけだ・あゆみ)
1980年埼玉県生まれ。京都大学文学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程。
○イスマイル・ベシクチ(Ismail
Besikci)
1939年生まれ。アンカラ大学政治学部卒業。トルコ人社会学者。60年代後半よりクルド人問題研究に従事。その研究活動ゆえに大学の教職を終われ、投獄される。獄中生活の合計は17年余。クルド人問題研究、クルド学の草分け的存在。著書に、<Dogu
Anadolu’nun duzeni: sosyo-ekonomik ve etnik temeller, E yayinlar,
1969>, <Devletlerarasi Somurge Kurdistan, Alan Yayincilik
1990>(邦訳『クルディスタン=多国間植民地』)他、多数。
○ファイサル・ダール(Faysal
Dagli)
1966年生まれ。ディジレ大学教育学部卒業。クルド人ジャーナリスト、映像作家。1994年、ドイツに政治亡命。著書に、<Birakuji/
Kurtlerin Ic Savasi, Belge Ulslararasi yayincilik, 1994>,
<Atesten Portreler, Belge Ulslararasi yayincilik, 1966>他、多数。
■ 『レイラ・ザーナ』関連サイト ■
・中川喜与志氏「民主化の旗手か、テロリストか?」(NR出版会)
http://www006.upp.so-net.ne.jp/Nrs/memo0507.html
・『レイラ・ザーナ』内容紹介(クルドを知る会)
http://ameblo.jp/rojbas/entry-10013091237.html
・磯部加代子氏「民主主義を映し出す鏡」(クルド人問題研究)
http://www1.odn.ne.jp/~cbq97680/interview.htm
・Kayoko isobe, <Demokrasiyi yansitan ayna; Leyla
Zana>
(Yeni Harman, 1 Ocak 2006)
http://www1.odn.ne.jp/~cbq97680/YeniHaman.htm
|