2006.05.22.up




 
今年はチェルノブイリ原発事故から20年を迎えます。未曾有の原発事故でした。
 昨年は、被曝60年。ヒロシマ、ナガサキに人類史上はじめて原爆が投下されてから60年の歳月が流れたのでした。
 そしてまた、今年のことにもどりますが、3月31日に青森県六ヶ所村の核燃料再処理工場のアクティブ試験が強行されました。再処理工場では、全国の原子力発電所から出る使用済み核燃料を化学処理して、ウランとプルトニウムを分離するのですが、本格稼働が始まると莫大な放射能が環境にバラまかれます。原発が1年で出す放射能を、たった1日で放出するといわれてます。それも、放出管というところから六ヶ所村の沖合に捨てられるのです。
 捨てられた放射能は海流に乗って南下。――岩手県の三陸海岸、宮城県、福島県の沿岸をとおって千葉県にまで及びます。これは、市民運動の人びとが葉書を放流して調べた結果です。エチゼンクラゲというでっかいクラゲが広がった経路と同じです。
 それで、4月の新刊のタイトルを『放射能がクラゲとやってくる』としました。
 再処理工場の本場はイギリスです。イギリスでは、再処理工場の建設について、公聴会を何度も開くなどして、詳細に検討してきました。何度も建設を断念するきっかけがあったといいますが、結局建設が強行されました。結果、子どもの白血病が増大するなど、深刻な被害を出し、現在は廃液漏れ事故で運転を停止しています。
 その政策決定のプロセスを詳細に検討したのが、2月の新刊『核の軛――英国はなぜ核燃料再処理から逃れられなかったのか』です。六ヶ所再処理工場も同じ運命をたどらないともかぎりません。
 日本でも検討はされました。昨年「原子力政策大綱」をまとめた新計画策定会議がそれです。その議論は、「経済性よりも安全性よりも、既定事実が優先する」というもので、まったくお恥ずかしい内容でした。その会議でたった一人、反対意見(私たちにとってはまともな意見)を述べ続けた人がいます。世界に誇るNGOの原子力資料情報室共同代表の伴英幸さんです。議論の経過報告と孤軍奮闘記が、3月の新刊『原子力政策大綱批判――策定会議の現場から』です。
 こうして振り返ると、毎月1点ずつ、脱原発の本を出しています。6月には、『原子力市民年鑑2006』を予定しています。



放射能がクラゲとやってくる
放射能を海に捨てるってほんと?

水口憲哉
800円+税
七つ森書館


核の軛
英国はなぜ核燃料再処理から逃れられなかったのか

ウィリアム・ウォーカー/著
鈴木真奈美/訳
3000円+税
七つ森書館

原子力政策大綱批判 策定会議の現場から

伴 英幸
2500円+税
七つ森書館
↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑七つ森書館「脱原発」3冊セット



NR関連書籍 「脱原発」


原子力の時代は終わった
「人間家族」編集室/編 ISBN 4-87672-085-1 1,800円+税
雲母書房

面白読本反原発
天笠啓祐/著、みついぎんこ/絵 ISBN 4-8068-0209-3 1,200円+税
柘植書房新社

原発事故......その時、あなたは!
瀬尾 健 ISBN 4-8331-1038-5 2,485円+税
風媒社

チェルノブイリ旅日記
瀬尾 健 ISBN 4-8331-1026-1 2,000円+税
風媒社

六ヶ所「核燃」村長選(野草社発行)
明石昇二郎 ISBN 4-7877-9082-X 1,500円+税
新泉社



5月11日(木)より、三省堂神田本店にて「ソフトランディングの未来をめざそう〜宇宙物理学者、池内了と考える省エネ生活のすすめ〜」というブックフェアを行っています。三省堂の担当者に小社の『ソフトランディングの科学』を高く評価していただき、「ゆっくり楽しみながら、省エネルギー生活を考えてみよう」と今回のフェアを企画しました。著者の池内さんには、自著を含め、関連本を50点選んでいただきました。『センス・オブ・ワンダー』や『奪われし未来』、『娘と話す 地球環境問題ってなに?』や『スローフードな人生!』など、選書は多岐にわたります。また、フェアにあたり「環境問題を気にしている人に、少しでも環境のために何かしたいと思っている人に、何らかのヒントを与えてくれるでしょう」とのメッセージもいただきました。貴店でも「池内了と考える環境フェア」を企画してみませんか? 上のようなポスターもご用意しております。また、選書(点数)についてのご相談にも応じます。くわしくは七つ森書館(Tel 03-3818-9311)吉岡までお問い合わせ下さい。


 

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