『風の音の』を出版するにあたって 喜多村蔦枝
お墓は大事なものです。なんとなく、そう思って生きてきました。
一昨年、夫が他界しました。婚家の墓に入れるつもりでした。夫は4人きょうだいですが、妹3人はみな結婚して姓が変わっています。妹のうち2人は後妻の子です。先妻の子と後妻との間に養子縁組はありません。婚家の墓は後妻名義になっていました。
伴侶の死の悲しみにくれながら、お墓をどうしたらよいかと悩みました。骨壺の前で、毎日夫の死生観、宗教観を回想しました。
近くの霊園を見学しました。
今までお参りしたことのある色々なお墓を思い出しました。人はみな、亡き人の霊魂がお墓に宿っていると考えるのかもしれません。特に日本人は。
しかし私には、現在のお墓は骨壺の倉庫ではないかと思えたのでした。土には還りません。不自然だなあという素朴な疑問が湧きました。
夫が生きているうちに、お墓について充分に話し合わなかったことを悔やみました。遺された私は迷路に入った気分でした。
そうこうしているうちに、新聞で自然葬を知りました。骨を灰にして海や山へ散骨します。この方法が違法ではないことを確かめ、夫を自然に還すことに決めました。
日本のしきたりは、人は死んだらお墓へ直行です。誰もそれを不思議に思いません。
お墓から散骨へ至るまで、私は右往左往しました。でもそれは、ほんのちょっとした道草であったと最近になって思います。
夫は自然に還りました。今では、雨につけ風につけ木々の緑や紅葉にさえも、夫の姿を偲ぶことが出来ます。お墓にわざわざ行く必要もありません。
これは物語ではありません。夫の後始末を巡っての心の軌跡です。多くの方に読んでいただき、お墓や自然葬を考えるきっかけになればと思います。
【一面特集関連本】生と死を見つめる
ひびきあう生と死
日本ホスピス・在宅ケア研究会 飛騨高山大会/編
2,000円 978-4-87672-239-6
雲母書房
歎異抄の深淵 異義篇
武田定光
1,800円 978-4-87672-223-5
雲母書房
歎異抄の深淵 師訓篇
武田定光
1,800円 978-4-87672-195-5
雲母書房
「ことばの知恵」を超えて
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2,800円 978-4-7877-9310-2
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葬送の自由と自然葬
葬送の自由をすすめる会/編
1,500円 978-4-7736-2406-9
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自然葬ハンドブック
葬送の自由をすすめる会/編
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自然葬と世界の宗教
葬送の自由をすすめる会/編
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凱風社
死のコスモロジー
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わたしの死の物語
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1,500円 978-4-7736-2303-1
凱風社
四国八十八ヶ所ブラブラ旅
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1,400円 978-4-7554-0106-0
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私はいつまで生きていてよいのか
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2,300円 978-4-7505-0432-2
亜紀書房
定年後は「般若心経」で悔いなく生きよう
松野宗純
1,500円 978-4-7505-0015-7
亜紀書房
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