2008.09.16.up 



七つ森書館▼9月の新刊

対論 生き抜くこと
雨宮処凛・香山リカ
四六版/並製/224ページ
定価1,400円+税

 

●この本の目次
まえがき
************************************香山リカ
第1章 生存権って守られてる?
*********雨宮処凛、香山リカ
第2章 変化してきた日本人の意識
*******香山リカ
第3章 格差と戦争を考える
***************雨宮処凛
第4章 いまこそ、生きのびろ!
*********雨宮処凛、香山リカ
あとがき
************************************雨宮処凛


この本の編集は、けっこう苦労しました。
    

 はじめから恐縮ですが、私のような団塊すぐ下の世代にとって、現代の若者がおかれた状況について一冊企画し、編集するのはなかなかシンドイものがあります。

 今回は、編集の舞台裏話をしてみましょう。

 企画が始まったのは、昨年のいまごろです。小社は憲法行脚の会(呼びかけ人は、内橋克人、落合恵子、佐高信ほか11人)の事務局のお手伝いをしているのですが、若手メンバーが香山リカさんと雨宮処凛さんのジョイントを企画したのです。

 お忙しいお二人のこと、半年後の翌年(2008年)3月1日に開催の運びとなりました。集会名称は「生存権って守られてる?」──日本国憲法25条によって保障された“生存権”と、行脚の会がキャンペーンする憲法9条について語り合い、会場の参加者との分科会を催すという欲張りな内容でした。当日は、200人以上の参加者があり、かなり盛り上がりました。

 実は、この対談を中心に本にしたい、とお二人に申し込んだのは集会当日のことだったのです。お返事は、「いいですよー」と雨宮さん、「是非ぜひ」と香山さん。企画のOKをいただくのは、編集者にとってうれしいものです。

 さて、企画の骨子は固まりましたが、どう肉付けしていくかが問題です。対談を重ねるにしても、あと2〜3回は必要。多忙なお二人にそれだけの時間をとっていただくのは無理(!)です。内容を掘り下げていく原稿を1本ずつ書いていただければいいのですが、それも無理……。そこで、講演を1本ずつ入れたらどうか、と思いついたわけです。早速、メール──すぐに講演予定のお返事をいただきました。

 香山さんは4月下旬、「9条の会・千葉医療者の会」結成の集いの記念講演を収録するためにレコーダーとデジカメを持って千葉へ。雨宮さんは5月中旬、兵庫県川西市の市民の集い「戦争で幸せになる子どもは、いない!」の講演でした。

 一方、社会をとりまく情勢は、どんどん動いています。3月末は、雨宮さんが副代表をつとめる「反貧困フェスタ」に連合が参加し、非正規雇用の問題をとりあげはじめました。5月4〜5日は千葉県の幕張メッセで「9条世界会議」が開かれ、1万5000人も参集したのですが、雨宮さんも香山さんもゲスト・スピーカーでした。そして、7月7〜9日はG8洞爺湖サミットです。そればかりではありません。6月8日の秋葉原事件、6月17日宮崎勤死刑囚の死刑執行……。2001年に小泉政権が発足してから続いてきた新自由主義のグローバリズムが、曲がり角をむかえていることを示す出来事の連続でした(福田首相の政権投げだしというオマケつきです!)。

 それで、まとめの対談は7月15日に行いました。

 さあ、それからが仕事です。注を小社のスタッフに作ってもらって、写真を本文に入れて、校正……著者校正をしていただきながら、「まえがき」と「あとがき」の原稿を書いていただきます。その間に書名を決めなければいけません─これが悩みになやんだんです。雨宮さんの『生きさせろ! 難民化する若者たち』(太田出版)と香山さんの『生きてるだけでなぜ悪い?』(中島義道氏との共著、ビジネス社)を意識しながら、書名案を50くらいは考えたと思いますが、編集会議を経て著者へ送る……、もう一度練り直してスタッフに見せる、著者へ……、という作業を繰り返すこと1週間あまりでしたので、決まったときは正直ホッとしました。

 それから、帯の文字要素を考える、カバーのソデに入れる文章を考える……、現代の若者が置かれている状況に、自分の考え方をシンクロナイズしながら文字にしていく作業ですので、大変勉強させていただきました!

 本書を手にとって、どのように思われますか?

(七つ森書館・中里英章)



NR関連書 貧困と生存・ワーキングプアを考える



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